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空手道 禅道会 小沢 隆 代表 名古屋セミナー.2

実戦格闘技で勝利するには、楽な立ち幅が重要

前回に続いて、禅道会・小沢代表による名古屋セミナーの話。

質量普遍の法則から言えば、誰もが600㎏のパンチを打てる可能性はなくはないというのが前回、記述した内容であった。それができないのは、下半身から発動したエネルギーが打とうとした時に分散してしまうから。人間があらゆる局面で、精神的に追い込められてしまうからというのが小沢代表の話であった。以降、その話の続きである。

「下半身が瞬時に強い力を出すには空手の概念で言う立ち腰の歩幅が一番、適しているとお話しました。みなさんが子どもの頃から普通に歩いている時の歩幅というのはそれだけ合理的なのです。
ところが、立ち方が乱れていると、入れ物が歪んでいるのと同じなので、当たり前のごとくバランスも悪くなります。だから、柔道で技をかける際に相手を崩すというのは、相手の立ち方、重心を崩すことによって、技をかけることが成立するのです。
実戦格闘技で勝つためには、速く動き回れる、下半身が強い力を発揮できるという状態を作らなければなりません。そして、相手をノックアウトしなければならないので、そういう動きと状態が要求されるわけです。
でも、よく考えてみると、この時は楽な姿勢を保つことが大切で、特別な立ち方をすると辛いです。武道は辛いこと(立ち方)はしない方がいいのです。その身体の機能にとって、できるだけ長時間立っていても楽な姿勢を選ぶことが秘訣です。

人間というのは、脳が『快』の方にしかいかないから…

「人間というのは、脳が『快』の方にしかいかないので、走るにも一番楽な走り方、縄跳びを飛ぶ時でも一番楽な飛び方をすることが大切です。そういう意味で自分にとって、大変なことは選ばないことが大切なポイントです。不合理な走り方をすると、タイムも落ちます。そして、あくまでもその人その人の歩幅があるので、その歩幅を探すために、シャドーボクシングをするのもいいのですが、最初は自分にとってベストな歩幅を取ることが武道では大事な要素なのです。そして、自分の下半身が一番速く動ける立ち幅をしっかり覚える。そして、顎を引いて倒れても柔道の受け身のようにして、打たれても身体全体がその衝撃を吸収するようにします。柔道でもボクシングでも倒されることがありますが、しっかり顎を引いていれば、それだけでも受け身になります」

下半身の力が効率よく発動できるような立ち位置を作る

「打たれ弱いという人は自分がそう思い込んでいることもありますが、そのほとんどが姿勢に問題があります。
構えている時は良くても、動いている時に足が揃ってしまったり、動く瞬間に顎が上がっているのです。それが原因で倒されてしまう。
ですから、まず自分のスタンスを決めて、それが決まれば速く動けるように、下半身の力が効率よく発動できるようにします。同時に、自分の身体の一つ一つの確認です。ちゃんと顎が引けているか、腹式呼吸ができているか、体幹部がまとまっているかを意識していくのです。
人はそれぞれに骨格も体格も違うので、自分で一つ一つの認知を作っていき、自分にとって合理的なスタンスや構え、緩急を覚えていくことがとても重要なのです。
そして、その決め手は先ほど、お話したように『快』なんですね。この構えが一番楽で気分がいい。ストレッチでも痛いほどやったら、ダメなのです。大切なのはあくまでも『快』の姿勢やそこからくる動き。そういう時は気持ちも良くなり、頭がクリアーになります。
人間は立つ、座る、寝るという三動作の中で一番、『快』な部分を探っていけば、まず、間違いはありません。
人は苦しむために生きているのではなく、『快』を求めて生きているので、この動作が一番、快感であるというところを探る。これは専門用語で『機能快』と言われていますが、脳にはそういう『快』、『不快』を探す能力があります。だから、『快感』がベース。
後は呼吸をする位置です。モノを持ち上げる時に『よっこらしょ!』と声を出したり、投てきの選手が投げる瞬間に大きな声を出したり、テニスの選手がサーブを打つ時に声を出したりしますが、その時々に呼吸をするタイミングがあるのです。フォークボールを投げたりする時はあまり、呼吸をしない方がいですし、格闘技でジャブを打つ時に気合の声を上げたりはしません。それらは技固有の呼吸であり、声なのです。
さて、武道で言う気合ですが、パンチを打つ際も正しいスタンスから前に出る、シフトウェート、体の軸を中心とした円運動による一連の動きがあります。この三つの要素がかみ合って、初めて下半身から発動したエネルギーを伝えることができるようになります。それをうまく統合するのが気合になるのですが、それを立ち方、呼吸する位置を体感していくのが武道における最初の学習になります」

呼吸するタイミングをうまく考えていけば、力を発揮できる

我々、武道家、格闘家は身体(フィジカル)を徹底的に鍛えれば強くなると信じて、それをやってきた。それなくして、強くなることはできないと思っていた。しかし、それだけではないということを小沢代表の話で痛感させられたのである。以降、その話は続く。

「呼吸の話に戻りますが、ジョギングをできない人がいないように、呼吸をしていない人はいません。人間は生まれて、「オギャー」と声を上げてから、ずっと呼吸をして生きています。どんな動作の中にも呼吸が伴います。だから、呼吸するというタイミングをうまく考えていけば、下半身から発動したエネルギーを上半身へとうまく伝えられるようになります。そこで呼吸というアプローチの中で、自分の力がそれほど筋力に頼らなくても強い力を出せることは誰でも可能だということなのです。
ところが、ここで問題になるのが生まれ育ってきた中で『これはできない』という潜在意識の中に積み重ねられた思い。それがブレーキになっていて、本来ならできるはずのことができないのです」

思い込みの強さ、不安感が人の思考・行動に影響を及ぼしている

「話がずれるようですが、普通、男性は女性の話をすると楽しいですよね。だけど、そうでない人もいます。過去、女性との関わりで嫌な経験をした人は『また、嫌な目に遭うのじゃないか』と、女性の話題をするのが楽しくないのです。本能的には人間は団結して、生きているので人と関わることは喜びのはずです。しかし、その一方で苦痛に感じる人もいます。
そう考えていくと分かりやすいかもしれませんが、本来の機能はそう有されているのに、そうは思えないことがその人の思考・行動に影響を及ぼしているのです。コミュニケーションがうまい人もいれば、下手な人もいる。それだけ、人間というものは心理的なものが強いのです。
これは武道・格闘技でも同じです。試合で『絶対に勝てる!』という思い込みの強い人もいます。反面、自信を抱けずに『大丈夫だろうか』と不安感を増す人もいます。それだけ人間は心的なものが強いのです。ここを言い換えれば、フィジカルな部分や運動神経はそれほど大きいポイントになりません。
話を戻しましょう。みなさんが下半身から発生した力をうまく上半身に伝えることができるようになりました。そうしたら、強いパンチが打てるはずなのですが、それができたとしても、作用・反作用でその力が自分に返ってきます。いかに鋭いパンチが入っても、相手に弾き返されてしまうと、効きません。そこで大切なのが打った時に支えられる受動的な力。もちろん、姿勢が一番で、当たった時の技別のインパクトフォームをどう作るかが必要なので、ミットやサンドバッグや巻き藁を打ち、それを鍛えていくわけです。また、この時の体力は自分の力をコントロールすることができればそれで十分です。腕立て伏せなら、50回ぐらい、懸垂なら10回程度、それだけできれば十分です。後は受動的な呼吸法によって、重力に拮抗している抗重筋を使うのです。歩いている時は必ず、この抗重筋を使っています(走っている時は一瞬、抗重筋を使わない)。この抗重筋の強化ですが、実は歳をとっても結構、上がってくるものなのです」

小沢代表のセミナー、その話はまた次回へ続く。

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