凶悪犯罪が激増する昨今、護身術に対する期待が大きくなってきています。
今までは空手は礼儀や心を鍛えるための武道として習いに来る人が多かったのが、
「何か危険な場面に遭遇した時には本当に使えるんですか?」
「実際に危険な状態になった時に使える技を教えてください」
と言って入門してくる人が多くなってきたような気もします。
空手の流派にはいろいろな考え方の流派があります。
能や歌舞伎のように伝統芸能を大事に守っている流派。
ルールを大事にして競技として、スポーツとして頑張ろうとする流派。
護身術として実戦に対応しようとこだわっている流派。
その中で私としては、武術として護身術としての空手をみんなに紹介していきたいと考えています。
そのために私自身も、武器術である槍術や抜刀術も練習しています。
武器術と徒手空拳の両方がわかって初めて武術家が名乗れるというのは、古の武術家達が教えてくれています。
禅道会の空手は沖縄からの唐手と日本の古武術が整理融合して進化したものです。
さらに今まで東洋の「道」と言われてきた部分を、ユング・フロイトの西洋心理学に置き換えて「心の術」の練習にもアプローチしています。
だから今までの空手と禅道会の空手を比べても仕方がありません。
今後も実際に使える禅道護身術を紹介していきます。
相手を倒す裏拳は、バックブローとも呼ばれ、当たれば強烈な衝撃力を相手に与えることができる。
ただしモーションが大きすぎるため、タイミング良く使わないと当たりにくい。
体の使い方は禅道会の移動稽古の後ろ廻し蹴りの動作を応用した技である。
後ろ廻し蹴りでは、まず初めに構えた状態から右足を一歩引き、体移動を利用して上半身を反転させる(写真A1~2)
次に回転エネルギーを利用して足を上げることにより後ろ蹴りをする(写真A3~4)
後ろ蹴りの動作を倒す裏拳に応用すると、まず初めに半身になった状態から、相手に一度背中を見せて上半身を開く状態に持っていく(写真A5~6)
上半身を回転させながら、腕を伸ばして遠心力を使って裏拳を打つ(写真A7)
裏拳が終わったら、丹田の部分に腕を納める(写真A8)
前を歩いていたら、後ろから人が近づく気配を感じた(写真B1)
相手が肩を掴んできた瞬間に、全身で裏拳を相手に打ち込む(写真B2~4)
相手の顔に当たる瞬間、胸を開くようにして手首を開くと、相手に遠心力が伝わり倒すことができる(写真B5~7)
この裏拳は、相手を倒すまでの遠心力は確保できないが、相手を怯ませることができ、次の技に移行しやすくなる。
動作は禅道会の基本稽古のアッパーの動作を応用する。
構えた状態から丹田と肩に円運動を加えて、拳をジェットコースターに乗せるような気持ちで下げると、位置エネルギーを運動エネルギーに変えて、アッパー攻撃になる(写真C1~4)
この動作を裏拳に応用すると、丹田に腕を置いておいて、肘を中心に円運動を行う(写真C5~6)
親指、人差し指、中指を固定しながら裏拳を相手に出すと、威力がさらに上がり、相手にダメージを与えることができる(写真C7)
相手と話している最中に、相手がいきなり感情的になり襲ってくる(写真C8~10)
こちらは半歩前に移動しながら、肘から円運動を行うようにして、相手に裏拳でダメージを与える(写真C11~14)
相手の首の後ろを持ち、顔面膝蹴り(写真C15~17)
相手を倒したら、とどめを刺す(写真C18~20)
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