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雑誌掲載記事

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月刊フルコンタクトKARATE2012年8月号 イン・アウトの技術を応用した護身術

禅道護身術 連載 第8回

前回は、一人もしくは多人数の相手が近づいてきて危害を加えられそうになった時の対処方法を紹介した。
今回は、禅道会の理論であるイン・アウトの技術を応用した護身術を紹介する。
このイン・アウトの技術の理論は、常に相手の正面に自分はいないが、自分の正面には相手の体がある状態を言う。

格闘技では、上級者になると相手がパンチを打つ瞬間に相手のパンチがどこまで届くかという距離が感覚で分かる。
相手の攻撃限界距離が分かっていて、その距離の中に入らなければ、100%相手の打撃をもらうことはない。
しかし技によって攻撃限界距離が違うので、うまく技を使い分けることで相手をダウンに追い込む。

また戦いの中では、錯覚を利用することにより相手が気づかないうちに攻撃限界距離の内側に入り攻撃を加えたり、攻撃限界距離の中で相手に錯覚や誤作動を起こさせて倒すということをすべての格闘家は行っている。

今回は相手の攻撃限界距離に対して、イン・アウトの技術で距離と方向をずらしてこちらが反撃を行う技を紹介する。

相手が正面から跳び蹴りを行ってきた時の対処方法

相手が右足、左足のどちらから蹴ってくるかによって対処する方向が変わってくるので、まずはどちらの足から攻撃してくるのか見極める必要がある。
通常相手を倒そうと思ったときに出す技はストッピングの蹴りとは違うので、後ろ足からの前蹴りの変則蹴りで飛び蹴りを行ってくる場合が多い。蹴る瞬間に後ろにある方の足が蹴り足ということである。

右足で蹴ってきたら相手の右側に半身になるように後ろ足だけ引く。
相手が左足を下げたら左足の蹴りということが分かるので、左に半身になるように動く(写真A①~②)。

右の場合、サイドによけた後、一歩ステップインをして右手でラリアートをする感じで相手の首を前からロックし、左手で相手の右腕をロックする(写真A③~⑤)。

一歩前に出て柔道の技である大外刈りで相手を倒す(写真A⑥~⑧)。

相手が金的蹴りを行ってきた時の対処方法

相手が金的蹴りを行ってきた場合、自分の急所を隠さなければならない。
相手の攻撃が来た瞬間前足を引いて急所を隠す(写真B①~②)。

相手の金的蹴りに対しては、右足蹴りであれば右サイドに、左足蹴りであれば左サイドに避ける(写真B③~④)。

相手が実際に金的を狙って蹴ってきた時、相手が右足の蹴りだったので右サイドに避ける(写真B⑤~⑥)。

相手の足のアキレス腱の部分を左手で抱える(写真B⑦)。

次に右足を一歩進めて前に出ながら右腕で相手の足をフックするように抱える(写真B⑧)。

相手の軸足に関節蹴りを打ち込んで相手のバランスを崩す(写真B⑨)。

さらに一歩前に出て左足先で相手の軸足を刈って倒す。
倒したらすぐに相手が起きてこられないように攻撃する(写真B⑩~⑫)。

相手が首を掴んで攻撃してこようとしてきた時の対処方法

相手が自分の首を掴んで攻撃しようとしてきた場合、蹴る瞬間相手は右足が後ろにあったので右サイドに避ける(写真C①~②)。

相手の膝を両腕で抱え込み先ほどの金的蹴りの対処法と同じように前に出て相手を倒す。
最後に相手が起きてこないように攻撃を加える(写真C③~⑥)。

護身術で勝つのは下の下なり

護身術は、相手を倒してこそ護身になる。「次にやり返してやる」などという気持ちを相手に起こさせてはならない。また、シンプルに倒す技なら良いが、マウントパンチを連打して相手を悲惨な状態に追い込むのも良くない。
相手に復讐心を持たれたら護身術としては成功とはいえないのである。

孫子の兵法では、戦わずして勝つのが最上の勝ち方と言う。戦って勝つのは下の下だとも言う。
護身術で勝つのは下の下の勝ち方と言うことを認識した方が良い。
戦わずにすめば、それに越したことはないのである。

私たちは常に自分自身をコントロールして、体も心も隙を作らないようにするために、武道を鍛錬する。
是非、この連載を自身の護身に役立てていってもらえばと思う。

相手が首を掴んで攻撃してこようとしてきた時
相手の力が強くてサイドに回れなかった時の対処方法

相手が自分の首を掴んで攻撃しようとした瞬間、サイドに回ろうと思ったが相手のパワーが強くてサイドに回れないと感じた場合、左腕を相手の肘に持っていき押さえつける(写真D①~③)。

そこから差した腕を相手の脇まで持っていくと相手のバランスが崩れて相手がお辞儀した形になる(写真D④)。

相手の顔に膝蹴りを入れる(写真D⑤)。

次にバランスが崩れているのでテコの原理で相手の頭を押さえながら差した腕を深く移動させると、相手は倒れてしまう。
倒れたら先ほどと同様に起き上がって来られないように攻撃を加える(写真D⑥~⑨)。

空手道禅道会 横浜支部の紹介・大畑支部長プロフィール

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