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空手道 禅道会 小沢 隆 代表 名古屋セミナー.4(最終回)

センスではなく、認知することで可能性も生まれる

以下、小沢代表、名古屋セミナーの最終回。

「シャドーというのは、センスですが、基本稽古というのは呼吸法や姿勢をどうすればいいかを意識してやります。そこで武道というものの稽古を通して、『認知』を深めていくのです。いかに自分が何のためにこれをやっていて、その動作をやっていて、深く突き詰めていくということなのです。
センスだけを頼りにしていると、一握りの人しか強くなれません。しかし、『認知』というものを深めていくと、結構、誰にでもチャンスはあるのです。それが武道とスポーツの違いになりになるのです。
さきほど、できると思い込める人とそうでない人の話をしましたが、『認知』をすることによって、潜在意識に眠っているように見える自分の足かせ(過去に痛めた個所があると、今も現実のように痛みを感じるような状態)のようなものを解放することができます。そういう面で大脳の働きにはデメリットの部分があります。それをどうしたらいいかが呼吸法であり、『認知』になるのです。だから、これらの内容を知ることは現在社会においても大切なことだと思います」

禅道会では、一人稽古の割合が高い

「話は少し変わりますが、現代社会では50・80問題というのがあります。50歳の子どもに80歳の親がいる。そういう時、その子どもの精神状態が異常であったりすると、殺人事件になることも現実としてあります。家庭内で起きる殺人事件は今、60%という数字になっています。そこで、私の考えとしては扁桃体をどうコントロールするかが課題になります。それは武道のテーマでもあると言えるでしょう。
ここで禅道会のお話をすると、一人稽古の割合が高いです。スパーリングなどの練習は少なく、一人で自分の動作を認知することに重点を置いています。だから、スパーリングなどの練習は他の総合格闘技に比べると、とても少ないです。3ラウンドぐらいしかやりません。それでも、禅道会ではコンスタントに世界クラスで活躍する選手を輩出しています」

これは事実だ。そうそうたる強者が世界のトップクラスで戦っているのである。

潜在意識は現実・非現実の区別ができないので臨場感でイメージする

「潜在意識は現実か非現実かの区別ができないので、断定的に臨場感をもってイメージすることがすごく大事。梅干を食べたことを想像してください。すると、口の中が酸っぱくなりますよね。唾液が出て、脳も梅干を食べたのと同じような状態になります。だから、例えば会社に嫌な上司がいたとします。すると、その記憶を思い出して、『嫌だなぁ』と、梅干を食べた時と同じような現象が起きるのです。つまり、予期不安がわいてくるのです。
問題なのは、その予期不安が出ている最中に、ずっと、ストレスホルモンが出っ放しになること。そうなると、脳細胞を殺してしまうのです。そのように、現代社会において、扁桃体というものがデメリットとして出てくるのです。そうすると、その人の副交感神経は乱れ、日常的に予期不安がその人についてまわることになります。
ここで、まず自分が変えなければならないのは、そういう思い込みからくる、インドの脳神経科学者・ラマチャンドランが述べていた『心の中の幽霊』を減らしていかなければなりません。少しぐらい、人に愚痴を聞いてもらうのもいいです。聞く側も『そうなんだねぇ』と聞いてあげることで、予期不安を抱いている人の心情が少しは解消されます。でも、実際のところは自らその予期不安を消し去ることの方が大切です。そして、これも実は武道の大きなテーマなのですね。
では、どうすればいいのか。まずは大前提として、自分の性格というのは脳にネガティブな感情を植え付けた傾向なのだということを認めてあげるのです。でも、描き換えるのはなかなか大変です。ビリーミリガンという人をご存じでしょうか?連続強姦および強盗の疑いで逮捕された犯罪者ですが、この人は子どもの頃に父親から身体的・性的虐待を受けていました。そして、多重人格でもあり、自分が行った犯罪を自分で分かっていなかったのです。それを知った彼はカウンセラーを受けて、自分の過去を思い出し、24人格の自分を知ります。だから、思い出したくないことを思い出すのは大変なのです。それだけ、脳内の記憶は諸刃の剣のようなもの。お酒を飲むと、大脳皮質が麻痺して、理性が無くなることもあります。ただし、それは悪いことばかりではありません。ストレスが一時的に開放されるので、そういう面ではいいのです。ですから、サラリーマンが会社帰りに同僚と飲んで、上司の愚痴を言ったりするのも、それはそれでいいんですね。そして、自分は生身の人間だということを受け入れることも大切です」

自分の内部情報に対して感じていく、認知していくことで…

「また少し話は変わりますが、感動的な映画を観たことはありますか?例えば、ブルースリーの映画とか。映画を観た後であたかも自分がブルースリーになったような感覚を覚えたことありますよね。それがイメージすることの一例です。格闘技の試合でも強い選手はそれができています。頭で『勝てるだろうか』と思うのではなく、臨場感をもって『絶対に勝てる』とイメージすることが優れた効果を発揮します。
先ほどから、『認知』について何度もお話してきましたが、それをしていくと、内観ができるようになります。その内観の支えとなるのが呼吸です。内の感覚を認知する。自分の表側の情報に反応していくのではなく、自分の『内部情報に対して感じていく、認知していく』のです。
例えば、千利休さんという方は素晴らしい文化人で、お茶を入れる動作の中ではその道の達人であったわけです。武道やの要素を学ばれた方ではありませんが、もし、武道を学ばれたら、すごく強くなったかもしれません。でも、それはあくまでも茶道における話。だから、あくまでも我々はそこから応用・展開できるものを身につけなければなりません。
呼吸法、姿勢をベースに基本稽古、移動稽古を学ぶことで、武道的な動きを体得していく。これらの稽古の体系には全て整合性や共通項があるのですが、それが呼吸法です。先ほども話したように、どの状態でも一番いい呼吸ができるようになること。呼吸を自由自在に操れるというところが大切になります」

●●三昧という人達はマインドフルネスになっている

「呼吸法によって、大脳がストレスを緩和・コントロールしようと働き、結果的に人の心はストレスから解放されます。同時に、予期不安からも解放され、脳細胞は復元されます。一芸に秀でている人などは『……三昧』と言われますが、その間、マインドフルネス状態に持っていきやすい感覚を持っている人達なのですね。俗に言う無我夢中になれる人です。ここで大事なことが何度もお話しているように『快』なのです。呼吸法を意識することで、抗重力筋も活性化します。ストレス状態になっても自分を見失わないようにすると、心身も整い、身体全体が一つのものとして調和していき、動きが美しくなるのです。武道の技も一緒です」

武道とは戦う技術のみならず、「快」に基づいた人とのコミュニケーションにもつながるのだ。小沢代表の話を聞いていて、自分の人生における学びと成長がそうした過程から生まれることを改めて確信させられた。小沢代表、この度は本当にありがとうございました!

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