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禅道会 谷村泰和の武道人生

兄弟と共に歩む総合格闘技人生

今回、紹介するのは今年の四月に高校三年生になる谷村泰和(やまと)。以前、この記事で紹介した谷村泰嘉(たいが)選手の弟である。兄弟そろって、格闘技の世界を歩む二人だが、谷村泰和だけは違う。彼はなんと、二歳の時から禅道会で練習をしていたのである。「記憶があった時はすでに格闘技をやっていた」と語るだけに、禅道会=生活の一部、習慣のようにやってきたのだ。親の勧めで空手を始めるという少年も多いが、入門時の年齢が二歳とは、こんなに早い入門も珍しい方だ。子どもなりに遊びたいこともあっただろうと思い、「辞めたくなる時はなかったか?」と訊ねると、小学校の頃は辞めたかったという答えが返ってきた。

「その頃は兄弟そろって、プロ野球を目指していたんです。いつも近所の公園で父親から指導してもらっていました。それに、空手の練習が夜遅いのです。9時から始まって、終わるのが11時ぐらい。遊ぶ時間がないこともあって、何度か辞めたいと思っていました」

そんな谷村の気持ちが少しずつ、変わってきたのが中学校に入ってから。「喧嘩に強くなりたいという気持ちになってきた」という、負けん気の強い回答が返ってきた。ちなみに谷村家からは長男の泰嘉、次男の泰和、三男の武佐土(むさし)が通っている。他の兄弟が続けているのに辞めるわけにはいかなかったというのも、谷村の思いだったのだろう。

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アマチュアの大会は28勝3敗という好成績を誇る

そんな彼も中学時代は禅道会と並行して、学校の部活で野球もやっていた。通常は高校に進学してからも部活は続けるところだが、谷村の場合は違っていた。中学生の時点で、プロの格闘家を目指そうと思っていたのである。そのきっかけとなったのは兄と一緒にオクタゴンに立ちたいと思ったのと、周りの期待が大きかったので、それに応えたかったというのがプロを目指すことになった理由。プロの試合を観戦しては、「自分もやってみたい」と思ったのである。

それだけの覚悟をもって練習していただけにアマチュア時代の戦績はRF武道空手道選手権大会で六連覇、ヨーロッパ世界大会優勝 バンコク大会優勝、2024アマチュアMMA全日本選手権フライ級MainTournament優勝。トータルで28勝3敗という好成績を誇っている。むろん、そこまで頑張れたのは本人の努力と周りからの心強い応援があったからにほかならない。学校の友だちも応援に来てくれたのが嬉しかったそうだ。ちなみに、指導を受けていたのは松井英夫指導員だった。やる気が出ない時でも励ましてくれたし、教え方も丁寧で分かりやすかったと言う。褒めてくれるところはちゃんと褒めてくれるので、子どもなりに励みになっていたそうだ。

「印象に残っている試合は?」と訊ねると、こんな答えが返ってきた。「2017年に開催された全国大会が印象に残っています。この時はロシアやウクライナなどの海外勢も参加していて、四試合のトーナメントが組まれていたのですが、自分と兄だけが優勝、他の選手は敗退してしまいました。この時は父親が自分のことのように喜んでくれたのですが、自分としては結果もさることながら試合内容にもこだわるので、手放しでは喜べませんでした。もともと、自分は寝技と組み技は得意だったものの、打撃が不得手で積極的に攻めることができなかったんです。後になって、『あの時、こう攻めていればもっといい展開になっていたのに』という気持ちもわいてきました」

その時の後悔の気持ちが練習に活かされるようになった。苦手とする打撃練習にも力を入れるようになったのである。そんな谷村にとって、特に苦手なのが顔面への打撃(パンチ)だった。経験者の大半が通過点とするところだが、顔を殴られるのは誰もが恐怖するものだ。打たれるのが怖くて、下を向いたりしようものなら、次の打撃が飛んでくるか、組み技で倒されるなどして形勢はさらに不利になってしまう。谷村の場合もこれが課題だった。しかし、継続すればそれを乗り越えられる時が来る。高校生になってボクシングのスパーリングを続けていくうちに、いつしか相手のパンチが見切れるようになった。そうなれば恐怖心も払拭できる。それと同時にカウンターの当たる確率も高くなるし、自分のパンチの威力も増してくるのである。谷村にとって、その自信が次の試合につながっていった。ちなみに、谷村は兄と同じパラエストラ関西ネットワークの森宮の練習生になっている。総合格闘技のジムと禅道会を並行して学んでいるのだ。

 

パンクラスのネオブラッドトーナメントにプロデビュー

そして、迎えたのが今年の2025年の2月のプロデビュー。パンクラスのネオブラッドトーナメントで階級はフライ級である。谷村のアマチュア時代の戦績が評価され、総合格闘技界からも注目された試合である。それだけに彼のモチベーションも上がった。

「プロの試合は一ラウンドが五分で休憩が一分。それを三ラウンドやるのですが、これが思っていた以上に体力を消耗しました。デビュー戦ということもあって、内容的にはダメなところもあったけれど、何とか腕十字で勝利を挙げることができました。周囲の期待にも応えることができて、嬉しかったです」

谷村と話していて気づいたことだが、彼は自分の試合を客観的に見ることのできる目を持っている。だからこそ、デビュー戦も100%納得できなかったのだ。

「試合時の感想を言うと、50%ぐらいの出来ですね。対戦相手の工藤選手はグラップラーで打撃を得意とするタイプでした。最初に自分の戦いをせずに、相手に合わせて打ち合いをしてしまったのです。早く終わらせようと言う気持ちが前に出過ぎてしまい、それが自分としてはマイナスポイントになってしまいました。次からはもっと、冷静に戦い、自分のペースで攻めるようになりたいです」

ちなみに、谷村の得意とする攻撃パターンは下からの腕十字。中学校のアマチュア時代でもほぼ、腕十字で極めていたそうだ。

「次の試合が5月18日。その後。7月に続いて9月が決勝戦です。これに優勝すると、パンクラスのランキングに入るのですが、優勝することはもちろん、『谷村は強い!』というところをファンの方に見せたいです。これからの目標はまず、第一にトーナメントで優勝すること。パンクラスに出場させてもらっているが、パンクラスそのものをもっと有名にしたいです。格闘技ファンの方から『パンクラスと言えば、谷村だ』と言われるぐらいになりたいです。それを兄弟で果たせるようになることが当面の目標です」

 

目指すはUFCという世界最高峰の団体でベルトを取ること

ちなみに兄の泰嘉選手はプロで五戦して、一回だけ負けている。「兄が試合する時は自分の試合よりも緊張する」と語る谷村だが、それは兄も同じ気持ちだろう。同じ格闘家として、兄弟以上の絆はないか?と訊ねたところ、「お互いに励まし合ったり、しょっちゅう、一緒に練習してお互いのいいところを指摘し合っているので、参考になることも多いです。」

ちなみに以前、兄である泰嘉選手に取材した時は究極の目標は「UFCという世界最高峰の団体でベルトを取ること」と語っていた。むろん、谷村も同じ気持ちである。「その前に兄弟そろって、パンクラスで優勝してベルトを獲得するという目標があります。簡単に実現することではありませんが、出場するからにはそれを果たしたいですね」

現在、三男の武佐士(むさし)選手はアマチュアで活躍しているが、いずれはプロデビューする時が来るだろう。三人そろって、タイトルを獲得できることを多くのファンが期待している。

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