興和警備保障株式会社 西村政志代表取締役社長・空手道禅道会 小沢隆首席師範と
Photo:禅道会 職員日記 喧嘩2000戦無敗?!伝説の漢!!より
禅道会で、徒手空拳の空手を修行する大畑だが、いざ!という時に備えて、武器の稽古もしているそうだ。
「ナイフでも、銃でも相手が武器を持ったら、武器しかないじゃないですか。空手には、トンファーやサイなどの武器がありますが、それを使うのは、現実的じゃないですよね。銃の扱いには精通していますが、むろん、それも使えない。なら、どうするか。そう思った時に『これだ!』と、思いついたのが警棒でした。ちょうどその頃、武道仲間から西村社長の興和警備保障株式会社を紹介され、ボディガードをすることになったのです。その頃は格闘技選手も何名か登録していましたよ。やくざを相手にするケースも多くありましたから、それには武力で対抗するのも必要。強者ぞろいの組織でした」
しかし、大畑は興和警備保障を二年で辞めた。ボディガードは文字通り、依頼主を護る仕事だ。むろん、その人を護るだけの武力はある。しかし、個人のために「自分は命を捧げられるか」と考えた時、できないと思ったのだ。いや、実際にそういう場面に遭遇したら、やることができる自分、命を捨てることができる自分が大畑は怖かったのだ。だからこそ、彼はボディガードという職業から身を引いた。
そんな大畑だが、今も興和警備保障の武術指南顧問という立場にいる。西村社長も大畑の人間性を評価してくれたのであろう。懇意な付き合いは続いており、「いずれは会社を引き継いでほしい」とまで言われているそうだ。元レンジャーの精鋭であり、禅道会で四回にわたって、チャンピオンになった男である。その実力を評価したのも理由だが、西村社長は人間・大畑の男気に魅力を感じたのかもしれない。
ちなみに、西村社長はその世界では有名な喧嘩の達人である。興和警備保障も顧客の様々なリスクを警備・警護する業務を担っている。今までの実績を評価、信頼されて、多くの企業や人から信頼されている会社だ。その西村社長をして、会社を託されるまでのことを言われるのだ。大畑がどれだけ信頼されているか分かると思う。
大畑とは何回か会って、話しているが、常に彼の口から「自分の人生ですから、楽しく生きていきたいですね」という言葉を聞かされている。楽しくと言うのは、自分だけが楽しければいいというわけではない。自分も自分に関わる全ての人も楽しく、そして、幸せな人生を送りたいということだ。
ちなみに、楽しい時、人間は脳からドーパミンという物質が出る。感謝を初めとする深い幸福感の時はオキシトシンという物質が出る。だから、脳の状態を日頃からそのような“快”の状態にすれば、人は楽しく、幸福な人生を過ごせるのだ。この話の詳細は以前のトピックス記事で、小沢代表の話を何度か掲載しているので、興味のある方は読んでほしい。
大畑の話は続く。
「武道、私の場合は空手ですが、稽古で体得したことをもっと、活かしてほしいと思います。空手には組手があり、実際に相手と打ち合い、蹴り合う稽古がありますが、そこで得られるものは単に強さだけではありません。相手の呼吸を読むこと、間合いを読むこと、あるいは次にくる攻撃を予測すること。これらはいずれも、実生活で活かせます。
学校でも、仕事でも、人との関わりが数多くあります。人間関係が豊かな人は、人生も豊かになります。ここで、相手の呼吸を読んだり、相手との間合いを読むことが活きてくるのです。『あいつは空気が読めない』と言われる人がいますね。自己中心で、自分の世界観から抜け出せないから、それができないのです。
人間関係が上手な人は演技でも演出でもなく、空気を読むことができます。『この人は何を言いたいのか、何を求めるのか、何を分かってほしいのか』…そのような相手側の求めることを読むことができれば、コミュニケーションも巧くできます。自分だけを優先にして、相手のことを考えられないと、学校でも社会でもうまくいきません。当たり前のことですが、これができる、できないで、自分の生き方もずいぶん変わってきます。
それから、武道の『相手の攻撃を予測すること』は、次に何が起きるかを推察できるようになります。これは仕事では、特に大切ですね。全ての経営者に求められる能力ですが、顧客、あるいは市場の変化を読んで、推察することは自社の収益に大きく関わってきます。事業として、どう対処し、どう動くかを考えることはすべての職種において必要なことです。むろん、それは経営者だけでなく、そこで働く社員にも必要な能力になるでしょう。『あの人は仕事ができる』と言われる人は、様々な問題にフレキシブルに対応することができるし、顧客の気持ちをくみ取ることができるから、信頼を得ることができるのです。トップセールスの方々は、おそらくそのようなことを意識的に身につけているのでしょう。
だから、武道で培ったことを人間関係で広く活用することは、その人の人生まで豊かなものにしていきます。人の心を読むと言うと、下心を持つように思われるかもしれません。ですが、ここまで私の話を聞いていただければ、そうではないことを分かっていただけるでしょう。もっと、簡単な言葉で言えば、相手を読む=思い遣り・気配りにつながるのです。そういう人は相手からも感謝されます。『ありがとう!あなたのおかげだよ』と言われます。その感謝が自分の使命感や達成感、自己重要感を抱くことになるので人生が豊かになるんですね」
人間関係は人が生きている限り、ずっと、ついてくる。自分にとって、いい人ばかりではない。セクハラ、パラハラ、モラハラなど、人との関わりで精神的なストレスを受ける人も数多いだろう。ストレス社会とまで言われる現在である。じゃあ、そこでどうするか?と言うと、自分が変わるしかないのだ。相手を変えることはできない。だから、自分を変える。難しいことではない。大畑が言ったようなことを意識して、できるようにすればいいのだ。
本の宣伝をするわけではないが、既に発行された「伝説の元レンジャーが教える最強メンタルの鍛え方」には、それができるようになるためのメンタル強化の内容が詳しく書かれている。コロナ禍で、国民の多くがストレスにさらされている今だからこそ、この本を読んでほしいと思う。そこには、読者の意識を強く、そして柔軟にするであろうノウハウが提供されている。宣伝めいた話になったが、大畑の本は多くの人に読んでほしいと思っている。それは自分の願いのようなものだ。その気持ちを大畑に言うと、彼は微笑んでこんな話をしてくれた。
「私は武道を教えている方は、経済的にも裕福になってほしいと思うんです。物心両面で豊かになっていただきたいですね。そういう姿を見て、稽古する子どもたちが『将来、武道の先生になりたい』と思えるようになってほしい。子どもたちにそんな夢を抱かせるぐらいの能力と人間性を指導する方に持ってほしいと思うのです」
大畑の話を聞いて、強く同感するものがあった。将来、学校の先生になりたいという子どもは大勢いる。しかし、武道の先生になりたいという子どもは何人いるだろう。いたとしても、ほんのわずかと思うのだ。武道は日本に根付く、素晴らしい伝統的なものだ。それが単に戦う技術だけでなく、生きる力、人から評価され、憧れるものになれば、武道の位置づけはより、大きなものになるに違いない。
禅道会横浜支部長の大畑慶高が本を執筆!
2020年11月19日に出版されます!
発行:白夜書房
四六判 192ページ
定価 1,500円+税
ISBN 9784864942904
陸上自衛隊レンジャー部隊に所属した経験と、禅道会で積み重ねた鍛錬と大会の実績、そして会社経営者としての見地から、昨日の自分より強くなる方法を解説した本です。