入社したデザイン事務所の社長が元看護師で、なおかつ一級建築士。その経歴を活かして手がける物件は病院や施設が多く、さらにそこでの相談は建築に関わるものよりも「院内感染」に関する相談多かった。顧客の質問・要望に対応するため、山口も空気の動きや温度湿度、除菌に関心を持ち、専門的な知識を勉強するようになった。
「お客様が病院関係だけに、感染に関する相談が多かったんです。インテリアコーディネーターは家具だけでなく、いろいろなものを提供・提案していくことがその役割。それだけに、“除菌”というキーワードが私の中で大きくなっていました。ちょうどその頃、友人が除菌剤や空気除菌清浄機の会社を立ち上げていたので、『なら、そちらに特化した方がいい』と思い、代理店として新たなスタートをしました。すでに自分に子どもがいて、親としていいものを使わせたい、害のないものを使わせたいと常々思っていたんです。ですから、そのような転機は自然な流れでした」
そう決心した山口はココチプラス株式会社を立ち上げる。インテリアと除菌を含めたうえでの居心地プラス。空間の居心地をはじめ、いろいろな心地よさをお客様に提供しようという思いで社名を考えた。
「除菌剤といえばアルコールというのがその頃の認識。でも、私は次亜塩素酸がいいと思っていました。そこでアルコールに代わる物として、弱酸性次亜塩素酸水を扱い始めたのですが、当時はアルコールで除菌すればいい、アルコールが一番という状況の中、手荒れのない刺激の少ない弱酸性次亜塩素酸水を啓蒙活動していました。実際のところ、弱酸性次亜塩素酸水はアルコールで除菌できないウィルスも除菌できるエビデンスがあり、除菌後すぐに水に戻る性質があるので、アルコールよりも人体への影響が少ないと考えていたのです」
山口の努力は実り、扱い初めてから数年で弱酸性次亜塩素酸水の認知度が上がってきた。しかし、反面、新たな問題点、要望が増えてきた。それが以下のような内容だったのである。
つまり、弱酸性次亜塩素酸水をどうにかできるレベルではなく、現状の物で満足してもらうことばかり考えていたのだ。
そんなモヤモヤしていた時、2016年の10月にある話が持ち込まれた。
「山口さんは除菌剤やっているので、もし良かったら新しい商材をやらないか」と。
山口自身、あまり期待していたわけではなかったが、詳細を聞きに行ったところ…そこで「GSE」という存在を知る。初めて聞いた原材料だったが、弱酸性次亜塩素酸水で問題となっていた項目が全てクリアになる内容だった。 当時を振り返って、彼女はこう話す。
「『そんなにいいものがあるの!』と、自分にとっては、それはもうエキサイティングな体験でした。グレープフルーツ種子抽出物を知らなかったため、衝撃的でしたね。その後、開発者と何度も面会して、取り扱う事を決めたのですが、決めてとなったのは
まだまだ認知度は低い商材でしたが、一から啓蒙していくことを決めました」
2017年の年明け早々、ココチプラスはGSE(グレープフルーツ種子抽出物)に特化して、事業を進めていく。もともとGSEはグレープフルーツの種から抽出したオイルであることから、植物性で自然のもの。化学物質を全く入れることなく、除菌抗菌抗ウィルスを達成することができるのだ。排水溝へ流しても、自然の中で廃棄しても環境への負荷がない。環境汚染は小さな物の積み重ねで大きな汚染に繋がっていくものだが、それは人体も然りである。化学物質が体内に蓄積されることで、発症する病気もあるほか、皮膚からも浸透するケースもある。そのような問題と向き合ってきた山口だからこそこう、語る。
「何よりも自分で選ぶことができない子供たちが汚染されていくのが辛い。今の子ども達が20歳30歳と年を重ねた時の地球環境はどれほど汚染が進んでいるのだろうか。少しでも汚染を止められないのだろうか。そのような危機感が自分の中で膨れ上がっていました。でも、年々形を変えるインフルエンザウィルスや食中毒の菌からも子どもたちを守りたい。そこで、『これなら!』と確信したのが余計な物を一切含有しないGSEだったのです。GSEなら、安心で安全に守っていける、そう思いました」
企業としてただ、収益を上げればいいというのではなく、日々、啓蒙と共にていねいな商品創りで子どもたちの未来に貢献していきたいというのが山口のポリシー。これから続く世界が、子どもたちが引き継いでいく世界が、健康なままでいてほしい。ココチプラスには、山口のそんな想いが強く脈づいているのだ。
自然、天然、安心、安全をテーマに、乳児から高齢者まで心配をすることなく、永く使っていける「良い物」だけを創り続ける。自然に逆らわず、流行に流されず、ココチイズムを貫く。そのような研究や開発を続けることで、これから先の人達に残していける物を創造する。「いつでも、やっぱりこれだね」と言われるよう、ていねいかつ誠意ある仕事を人々に提供していく。口から入っても皮膚から入っても問題がないにもかかわらず、除菌・抗菌力が高く、化学物質もアルコールも入っていない。
「当社としては、ぶれずにここを貫いていきたい。何をやるにしても、環境と人。自分の子どもが成人した時に、地球はどうなっているのか。子どもたちが成長した時に良い地球環境になれたらという思いもあります。いい環境を次世代に渡したい、それが私たちの心からの願いです」
ココチプラスの代表として、熱く語ってくれた山口にコロナウイルスについて聞いてみた。コロナが流行するより早くから“感染”をキーワードに事業を推進してきた彼女は現状をどう、とらえているか。
「いまはコロナに騒がれていますが、時代を遡っていけば、様々な病気が流行し、命を落とす感染症は数多くありました。だからこそ、このような事態に対しても、適切にポイントを絞った除菌をしていくことが必要だと思います。私が言うのもなんですが、除菌に神経質になり過ぎてもいけないと思います。人間にはもともと備わった抗体というものがありますから。ですから、菌やウィルスが体内に入るルートというものがあるので、そのルートを適切に除菌すればいいのです。その適切な除菌というものが化学物質や刺激のないものを使う。自然の対処法というものは昔からあるので、それに近い状態で対処していけばいいと思います」
この話、いよいよ、最終章である。ココチプラス代表の山口と禅道会代表の小沢がなぜ、出会ったか。山口にそれを訊ねたところ、自分が予想していたドラマチックなものではなく、知人の紹介で知り合ったそうだ。GSE(グレープフルーツ種子抽出物)の素晴らしさに共感した小沢が長野から山口のいる東京まで出向いた。そこで時間をかけて話し合い、“未来を担う次世代へのより良い環境の実現と提供”という、お互いの理念がつながったのである。それを山口はGSE(グレープフルーツ種子抽出物)の商品でアプローチしていく。小沢は武道教育を主軸にアプローチしていく。いずれも、テーマとなるのは子どもたちの良き未来を目指す啓蒙活動である。ここに自分も強く共感し、二人の活動を広く社会に伝えていきたいと思った。